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執筆者の写真原田洋一

練習は裏切らない!

 うちの教室では、ホームポジション教えてローマ字タイピングやってます。以前、あるプログラミング教室の方が、「ホームポジションを無理に教えるとタイピングが嫌いになる子もいるので、うちでは無理に教えてない」的なツイートを見たことがあるのですが、僕のこれまでの経験では?と思ったので、その話を書いてみたいと思います。実は、これまで僕は、ホームポジションが嫌でタイピング練習を嫌う子って、まだ見たことがないんです。



練習用キーボード 指ごとに色分けシール貼ってます。

 


 僕の感触としては、タイピング練習が嫌になる子には、大きく2つ理由があるようです。一つはローマ字が読めないこと。二つ目は練習途中に伸び悩むことです。

 ローマ字は、だいたい3年生の2学期に国語の授業で習います。タイピング練習は、基本的にこの後にスタートすることが多いです。もちろんローマ字が読める子は1年生からでもタイピング練習やってます。


 最近は英語を習っている子どももいるので、「アルファベットくらい知ってるよ」といわれることも多いのですが、逆に英語の塾ではローマ字はあまりやらないのでしょう。英語を習っていてもローマ字が読めない子も多いので、やはり基本は学校で習ってからスタートで良いと考えています。ところが、学校で習ったからと言って、みんなローマ字が読めるようになってるわけではありません。


 学校の授業でのローマ字の扱いは、それほど時間数をとってるわけではないようですね。なので、実際学校で習ったとしても、「すぐに忘れてしまう」、もしくは、「全然覚えないうちに、授業が終わってしまった」という感じの子が案外いるんです。


 以前、教室の3年生で、「学校でローマ字習ったらタイピング始めようね」と声をかけていた子がいました。ところが、いつになっても「まだ習ってない」と主張するんです。でも、同じ小学校の生徒さんが他に何人もいて、他の子に聞くと「ローマ字もう終わったよ」と言います。どうやらその子は「ローマ字をほとんど覚えてない」状態だったので、何とかタイピング練習から逃げたかったようなんですね。でも「みんなもう習ったって言ってるよ」と迫ったら、渋々タイピングを始めました(笑)


 この子は、そんな状態で、まず「ローマ字そのものが読めない」「アルファベットの小文字が半分も認識できてない」という状態でした。さすがにこれではタイピングが先に進みません。やっぱり本人の意識としては、「そんなのオレには関係ない」「ローマ字なんて何に使うんだ」くらいなんですよね。


 こちらでも少しローマ字のプリント渡したりしていろいろやったのですが、教室では時間に限りがあります。そこで、最後の手段として保護者にそのことをお伝えするわけです。これを保護者に言うと、たいていの場合「それはいかん!」となって、家庭で結構サポートしていただけます。教室でイチからローマ字教える時間が無いので、家庭の協力は大事です。


 こうしてローマ字が読めるようになると、急に今までダメだったタイピングができるようになってきたりするんです。こうなると本人も俄然やる気が出たりして、頑張り始めます。その子も、少し時間がかかりましたが、自分のスコアが伸び始めると、やる気を出して取り組んでいます。タイピングは自分の上達度合いが点数化されるので、それが確実にモチベーションになっています。同級生と熾烈な点数争いを毎回教室で繰り広げてる子どもたちもいます。そして、何よりもこういう流れになれば、「ホームポジションが覚えられない」とか文句言う子はまずいないんです。


 ローマ字さえわかっていれば、タイピング練習に入るときのホームポジションについても、ほとんどの子は抵抗なく受け入れてくれます。よく、パソコンの文字入力欄とかを見ると、ひたすらキーボードをめちゃくちゃに打って訳のわからない文字列を入力する子がいますよね。こういう事をする子って、それだけでなく、たいてい僕の言うことを聞かない、聞けない子だったり、それどころかわざと言われたことと違うことをするようなあまのじゃく気質な子だったりするのですが、そういう子でも、ホームポジション教えたときに拒否されるようなことは今までありませんでした。ひょっとすると、たいていの子は、どこかで大人がかっこよく両手でキーボードを叩くのを見ていて、それに憧れを持っていたりするからホームポジションにあんまり抵抗がないのではないのかなと思ったりもします。まあこれは勝手な思いつきですが。


こちらはChromebook。キートップに小文字で印字してあるマシンは珍しく、小文字を苦手にする子どもの練習用として使っています。

 

 二つ目の、「練習途中に伸び悩む」というケースもけっこうあります。タイピングを始めた頃は、すぐにスコアが伸びていくんですが、ある程度行くと壁にぶつかります。スコアがあるところから先に行かなくなるんですよね。こうなるとモチベーションが下がってしまう子がいます。そして練習をサボりがちになります。


 教室では「最初にちょっとだけタイピングやろうね」というスタイルでやっているのですが、やってくるなりいきなりScratchの画面を開いてかじりつき始めて、「あれ?タイピングは?」と言うと、「後でやる」という子がいます。ところが、たいてい最後の最後までScratchやり続けてさーっと帰っていく(笑) 最初の頃はよくこれでやられたのですが、まあ最近は何とか最初に「1回でいいから」と言ってやらせることが多いです。


 練習を重ねることで上達するというものは、タイピング以外でも何でも大抵そうだと思うのですが、練習中になかなか伸びない時期にぶつかります。もちろん人それぞれ、その時間の長短はあります。でも、停滞する時間がちょっと長くなっても、それでも諦めずに練習を重ねることで、次のブレークスルーが訪れるものです。タイピングも全くその通りです。スコアがあるとき伸びなくなる。それでも練習を続けていけば、必ずあるとき次のレベルのスコアに伸びます。スコアは、階段状に伸びていくものなのです。


 ところが、同じスコアが続くようになると、「伸びない」と悩んでしまう。そして練習がいやになるわけです。これはある程度仕方ないのですが、でも、ここで辞めてしまうと、せっかくある程度まで上達したのに、それが元に戻ってしまいます。


 なので、あとはもう、なだめたり、すかしたり、褒めたりで、なんとかちょっとずつでも練習を継続させるわけです。すると、いつかまたスコアが伸びるんですよね。伸びないからと言ってタイピングを嫌がっていた子でも、伸びたら伸びたで、やっぱりみんな本当にうれしそうにしてくれるんです。


 スコアが停滞するのは「過去最高の状態を維持してる」ということなので、そこで自信を失わないでほしいんですよね。あとは、練習あるのみ。「筋肉と(タイピング)練習は裏切らない」がモットーです(笑)


 こうしてタイピング練習を続けると、普通はだいたい1〜2年練習を続ければ、5分で300〜600*文字くらい入力できるようになります。ただ、この上達曲線にもかなり個人差があるのは事実です。教室では、わずか半年で5分間に350文字入力できるようになった3年生がいるかと思えば、1年半かかって、まだ5分で150文字も入力できない5年生がいたりします。


ホームポジションの練習に良いかと思って導入したセパレートタイプのキーボード。ただ、これはあまり人気がありません(^^;)

 

 大事なのは周囲との比較では無く、その子が「前進」することだと思うので、そういう場合でも粘り強く、とにかく練習を継続して、ちょっとでも伸びたら褒めまくるみたいなことをやっているのですが、かなり伸びが遅いと、こんどは周囲でこれをバカにする子どもが出てくるんですよね。そういったところにはちょっと気を使います。


 「これからは、音声入力でしょ」、とか、「どうせそのうちフリック入力で早く打てるようになるよ」という声があることも承知していますが、いろいろ言われながらもQWERTYスタイルのキーボードはこれからも普通に使われていくと思います。パソコンを使うという場面では、それが日本語入力だろうが、プログラミングだろうが、キーボードを通じて英語、日本語を入力するスキルは、絶対に持っていて損なスキルだとは思いません。なので、これからもローマ字のタイピングは続けていこうと思っています。Scratchでプログラミングするだけでも、画面のキャラクターをしゃべらせたり、変数や定義ブロック、ファイルに名前をつけたりと、タイピングスキルがあると、重宝することも多いんです。


*ひらがなの文字入力数です。キータッチ数ではありません。

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