さて、これまで、Scratch Toolboxについてお話してきましたが、今日はもう一つのモードであるBasic Toolboxについての解説をします。
KidsScriptのコンセプトを理解していただくために、説明が前後しましたがが、本来こちらが、KidsScriptの一番基本的なツールの位置づけです。Scratchをやり慣れた子どもさんでも、テキストプログラミングの基本を理解するためには、まずこちらのモードを試してもらうのが良いと思います。
画面を開くと、スプライト(ネコの画像)が一つだけ表示されています。このスプライトに対応するvar文が1行表示されているのは、Scratch Toolboxのときと一緒です。このモードでは、スプライトの画像を動かすと、var文の中の座標数値が自動的に変化します。こういうことで、var文のなかの座標の意味を何となく感じてもらえば良いと思います。
プログラムを作るときは、画面内の①〜④のアイコンを順にタップしていくのが基本です。
①つくる
ここは、画面に表示するスプライトを選択するところです。今表示されている絵を動かす場合は、ここは飛ばして次の②からはじめて構いません。
②イベント
ここをクリックすると、「イベントづけるスプライトをタップしてください」とメッセージが出ます。要するに、これからプログラムで動かす画像を選びます。選ぶとそのスプライトについて設定するイベントが表示されるので、どれかを右の画面にドラッグ&ドロップで移動します。すると、このようになります。
ここで、注目していただきたいのは、スプライト名が自動的にイベントのスクリプトに組み込まれていることです。先に説明したScratch Toolboxでは、この部分は自分でコピー&ペーストするか、入力するかで作らなければいけなかったのですが、このモードでは自動にしました。
③うごき
ここは、スプライトの動作コマンドや、ループ、判定などのコマンドを選ぶところです。ここも好きなものを選んだら、ドラッグ&ドロップで右の画面にもっていきます。たとえば、こんな感じです。
④ソースをリロード
プログラムができたら、このボタンをクリックします。これで、プログラムの実行準備ができますので、後は設定したイベント(サンプルは、上にある緑の▶ボタンをクリック)を実行すればプログラムが動作します。
Basic Toolboxでは、スプライト名は自動で入力されますが、その他プログラムコマンドの中のパラメーターを変更するときは、その部分をダブルクリックすると、このように画面上にキーボードが表示されます。このモードではキーボードを触らずに、これらを行うことが可能になっています。
プログラムが完成したら、いちど、画面の色を消してみましょう。画面下の「色をけす」ボタンをクリックします。
これが、今自分が作ったテキストプログラミングの本体です。Basic Toolboxでは、この状態でテキストをコピーすることはできないのですが(Scratch Toolboxでは可能)、テキストプログラミングに目を慣らしていく過程では、まずこれを見て何となく「すごいもの作った」印象を子どもに与えられれば良いのかなと思っています。
Basic Toolboxでは、もう一つユニークな機能があります。それが色ボタンのとなりにある「ほんやくする」ボタンです。ぜひこれを押してみてください。
すると、画面内のコマンドの英語部分が日本語になります。これを見ると、今自分が作ったプログラムの意味が伝わると思います。
Basic Toolboxは、こうして初めてテキストプログラミングに触れる子どもに、「テキストプログラミングというのは、こういうことなんだよ」ということがわかるような作りを基本としています。Scratchなどで、ブロックを並べるプログラミングしか知らない子どもは、まずこういうツールを通じて、テキストプログラミングとはどういうものかという感覚をもってもらえればいいと思っています。
KidsScriptについての連載は一旦これで終わります。
これ以降も、Tipsや最新情報などは当ブログで随時お知らせしていく予定です。
過去の記事
→KidsScriptとは?(2)ーScratchとの共通点について
KidsScriptは(株)ネクストオブジェクト代表のプログラマー中山真樹氏の作品です。
弊社はKidsScriptの開発協力をしています。