Edisonのロボットは、手軽で使いやすいのですが、ときどきまっすぐ走らなくなってしまうことがあります。そんなときは、メーカーがキャリブレーション用のバーコードを公開していますので、これを使用すれば、たいてい治ります。
Drive Calibration(解説ページ)
Edison V2.0 Acceleration Calibration(バーコード印刷用PDF)
このバーコードをEdisonに読ませます。これを実施するときは、Edisonはすでにまっすぐ走らなくなっている状態ですから、普通にやってもバーコードを外れてしまって、上手く読めないことが多いです。そういうときは、無理やり手でEdisonを動かしてバーコードをスキャンしてやればOKです。私もそうしました。あとは、こちらの解説通り、▲ボタンを2回押せばキャリブレーションが始まります。(通常のプログラム実行時は▲ボタン1回押しですが、キャリブレーション実行は2回押しです。)
すると、Edisonが走り出します。実は結構広いスペースが必要で、「走っている最中にテーブルから落ちたり、障害物に当たって止まってしまったりしたらもう一度やり直せ」ということですので、気をつけましょう。こちらでやった感じでは2m四方くらいの広い場所が必要でした。また、キャリブレーションが終了するまでは数分はかかりますので、気長に終了するのを待ちましょう*。
ところが、これでも上手く治らないEdisonがありました。このEdisonは、先日の体験イベントの際に、ある男の子が使っていたものです。僕はイベント中そこまで気が回っていなかったのですが、アシスタント氏の証言によると、この子はTVリモコンでEdisonを操作して、机の上からダイブさせるようなことを何度も繰り返していたのだそうです。その結果、まっすぐ走らなくなってしまったようです。その時のイベントはEdisonを購入してもらうものだったので、一応初期不良ということで、本体を取り替えて、不良となったものを持って帰ってきたものです。
帰ってきて上記のキャリブレーションを行っても、全く回復しません。衝撃を結構受けたということなら、これはもう内部のギアとかが破損したのではないかと思って、ダメ元で中を開けてみることにしました。
これもメーカーのHPを見たら、中の開け方の説明まであるのですね。まあこれは交換パーツを購入したときの交換方法の解説ページではあるのですが、けっこう参考になりました。
Tune up your Edison(PDF)
ということで、Edisonの分解スタートです。Edisonを開けるには、以前EV3を開けたときと同じ、TXレンチという工具が必要です。サイズはT8。僕が持っているレンチセットの一番小さなやつですが、これもEV3と同じサイズでした。
上蓋が4個のトルクスネジで止まっています。これをTXレンチ(T8)で回します。
4つのネジをはずすと簡単に上蓋が外れます。
操作ボタンはゴムで、裏の出っ張りが、基板上の接点を押すだけの構造です。
これはEV3より簡単ですが、とても合理的な設計だと思います。
基盤がさらに2つのトルクスネジで固定されています。さっきと同じレンチで外れます。
基盤を外すと、モーターが出てきます。マブチモーターみたいなごく普通のモーターが
2つついています。モーターは、上のゴムで押さえられています。
モーターは上のゴムで押さえられてるだけなので、簡単に外れます。
また、ギアはちゃんとグリスアップされています。
ちょっと不思議なモーターですね。両側に軸が出ています。長い方のシャフトには、白黒の回転物がついており、これは物理的にどこにも接触していません。反対側の短いシャフトにウォームギアがあり、これが車軸のギアと噛み合うようになっています。この白黒の回転物が何のためについているのかがよくわかりません。メーカーの Tune up your Edison のページに掲載されているモーターの写真には、この物体は存在しないので、後から追加されたもののようなのですが....。
ウォームギアで駆動されるギアの方は2重構造になっていて、タイヤに近い方と本体内側に近いほうがバネで合わさるようになっていて、ウォームギアが停止しているときでも外側のギアが滑って回転できるような構造になっています。
今回うまく走らない原因は、内部のギアが破損したのではないかと疑っていたのですが、見る限りギアは破損していません。ということは、恐らく衝撃でモーターの位置がずれて、ウォームギアが上手く噛み合わなくなった程度だろうということで、モーターのマウントを再度確認して、もとに戻したところ、問題なく走るようになりました。
Edisonは低価格なだけにけっこうシンプルな構造になっています。この形のギアが衝撃で破損するというのは、あまりなさそうですので、キャリブレーションを行っても治らない場合は、ウォームギアの噛合がずれてしまっている可能性があります。その際は、こうやって一度分解してもどすと治る可能性があると思います。
まあ、Edisonはかなり頑丈にできているとはいえ、あんまり衝撃を与えるような使い方をしないのが一番だとは思いますが。
【ご注意】
当記事はEdisonの分解を推奨するものではありません。同様の作業を行う際はくれぐれも自己責任にてお願いいたします。
*「キャリブレーションが終了するまでは数分はかかりますので、気長に終了するのを待ちましょう」
と書きましたが、これはウォームギアが嵌合していない等の物理的な不具合があるEdisonでキャリブレーション実行した際の動作のようです。そういう状態だといつまでもキャリブレーションが続きます。ちょっと直進しない程度のEdisonでは、キャリブレーションは数秒〜数十秒程度で終わります。また場所もそれほど広い場所でやらなくても大丈夫のようです。【2018年5月23日追記】
*この記事はEdisonV2のものです。Edisonは現在V3にバージョンアップして、バッテリー内蔵となりましたが、モーター部分の基本構造は変わっておりません。【2024年10月10日追記】