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  • 執筆者の写真原田洋一

ファイル名をつけるのは苦手?

更新日:2021年10月20日

 僕の教室でScratchをやる際は、USBメモリを持参してもらって、作ったアプリはそこに保存して持って帰ってもらっています。Scratchのアカウントを取得すればそんなことしなくても良いのですが、今のところ教室からは、「Scratchのアカウント取得してください」というお願いはしていません。


 これは、Scratchのアカウントは現状16歳未満は保護者の同意の下、保護者のメールアドレスで登録しなくてはいけないという規約があり、これをご家庭に周知するのが結構大変だったりするためです。もちろん、ご家庭で規約を理解の上アカウントを取得することを許可していただいている場合は、アカウントを持っていただくことは否定しません。



 ただ、現状はまだUSBをメインにしている生徒さんが多いです。すると、教室時間の最後に、今日作ったプログラムを自分のUSBメモリに保存して帰るというルーティーンがあるわけです。


 WindowsにしろMacにしろ、最近のファイルチューザーはよけいなものが多く分かりにくいので、これの使い方というハードルがまずあるのですが、それ以上にたいていの子どもが最初につまづくのは「ファイル名」をつけるところです。最初のうちは、まだタイピングが進んでない子*が多いので、まずキーボードから文字を入力するというところで、引っかかる子が多いのですが、それだけではありません。例えば、「僕がタイピングしてあげるから、ファイル名言って」と待ち構えていると、「うーん」とうなりだして言葉が出ない子が結構いるんです。そんなとき、待ちきれなくて「もう、何でもいいからそんなに悩まずに言ってよ」とか言うと、突然「じゃあ、スーパーサイヤ人!」とか元気よく言われてひっくり返ったりしちゃうんです。 多少タイピングできる子に自分でやらせてみると、今度は自分の名前をそのままファイル名にしてたりします。やっぱり、内容を端的に表現するという意識が最初は全く無いというか、その必要性に気づいてないんでしょうね。


 ファイル名って、後から一覧を見て、その中に何があるかがわかるように名付けるべきだと思うのですが、そう説明しても、最初はまずだいたい伝わらない。たいてい、「なんでそんなことする必要があるの?」という感じの顔をされちゃいます。これは、だんだんいろんなファイルが増えてきて、「こないだやったあのゲームあったよね?」とか声をかけて、そのファイルを探しに行ったときに、はじめて自分の体験として「そういうこと」というのが腑に落ちるみたいです。こういう経験を経ると、だいたい自分でファイル名を付け始めるようになるようです。


 でも、「ファイル名をつけるのって、なんでそんなに難しいんだろう?」と、いろいろ考えていたのですが、あるとき、はたと思い当たりました。これって、要するにさっきやった内容、自分が作ったゲームの内容を、「ある程度の文字数で要約する」という行為に他ならないのですよね。「要約」って、恐らくまだ国語力がそれほど高くない子どもにとって、案外ハードルの高い行為なのでしょう、きっと。「ネコ逃げ」作ったら、「ネコにげる」だけでいいと思うのですが、そういう発想にすらなかなか到達しない。まあ、恐らくこれまでの人生で、そういうことを求められたことがあんまり無いと言うことなのかもしれません。



 ただ、経験を重ねるとだんだんとそういうのも上手になってきます。これは、教室に通っているうちにファイルがだんだんたまってくることで、はじめてその必要性を自分で認識するのと、やはりだんだん学年とともに国語力も上がってきて、やっと意味が伝わるというか、ファイル名は自分で後で認識するための識別子であるという認識が定着してくるのだと思います。そして中学生くらいになって、国語力がだんだんついてくると、こんどは妙に長ったらしいファイル名をつけたりするんです。


例えば、これは実際に中学生がつけたファイル名ですが....


北方の五芒星と東洋の薔薇の劣化版(名前考えるの頑張った).sb3

最初で最後の無名の弾幕(無いネーミングセンスで考えるんじゃ無くて人にきこう).sb3


とか(笑)


なんだかぼやきが入り始めてたりして、けっこうおかしいのですが、ここまで来ると恐らく他人には理解できなくても作った本人の意識内では何か紐付いているのでしょうから、これはこれで良いのでしょう。


たかがファイル名、されどファイル名ということでしょうか?



*僕の教室では、3年生以上の生徒さんはだいたいローマ字タイピングの練習をしています。以前は3年生の3学期くらいに、学校でローマ字を学習してからはじめる生徒さんが多かったのですが、例のGIGAスクール端末の配布にともなって、学校でもローマ字の学習を前倒しでやるところが出てきているようで、ほとんどの3年生がもう4月からローマ字タイピングの練習をスタートしています。最近は2年生でタイピングをはじめる生徒さんも出てきています。


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