• 原田洋一

マインクラフトでクリエイティブに遊ぶ③ MCブロックビルダーの効能

 前回は、MCブロックビルダーをイベントで使うやり方をご紹介しましたが、今回は、僕の教室でどのように使っているかをご紹介します。


MCブロックビルダーの最初は、たいていスノーゴーレム作り。最初は固定座標で作って、「○回繰り返す」で大量発生させます。






 実は、僕の教室では入室した生徒さんにすぐMCブロックビルダーをやってもらっているわけではないのです。教室では、Scratchの入門カリキュラムとして10個のゲームを作ってもらうようになっています。この10個のゲーム作りをクリアした生徒さんにMCブロックビルダーを使うようにしています。これは、イベントとはちがって、教室に通ってプログラミングを習うという選択をした生徒さんに対しては、やはりまずScratchの基本をしっかりとやってもらい、バリエーションを経験するのは、Scratchがある程度使えるようになってから、という考えからです。

 実際に教室でScratchの課題をそれなりにやった後、MCブロックビルダーを使わせてみると、けっこういろいろなことが分かります。その子のScratchの習熟度がかなり露骨に見えてしまうケースが多いのです。

 MCブロックビルダーでプログラムを作ると、まず3次元座標を扱うことになります。これが全く理解できない子は、案外いないように思いますが、それなりにScratchを使っていても、実はプログラムの「逐次実行」概念の理解が、かなり怪しい子どもが案外いることに気づきました。

 こういう子どもたちは、恐らく「暗記型学習」でScratchの課題をクリアしてきたのではないかと思います。これは、課題をやっている最中にも、だいたい分かると言えば分かるのですが、いざMCブロックビルダーを使ってみると、さらにはっきりと認識できます。MCブロックビルダーでは、シーケンシャルな考え方というか、最初にこれをやって、次にこれをやって・・・という手順を考える必要が出てくるのですが、これにほとんど対応できない。そこで、ちょっとしたプログラムの実行順を確かめてみると、案外分かっていない。特にプログラムの中に「○回繰り返す」が使われていると、もう何が何だかわからなくなっちゃう。そういう子は、ときどきいますね。

 さらに、変数への忌避感というか、「できれば使いたくない」という意識の子もときどきいます。そういう子は、MCブロックビルダーで座標を変数にするという辺りで、だんだんと引いてくる感じになってきます。

 そんなわけで、Scratchの理解がちょっと怪しい子どもたちに対しては、まずじっくりと固定座標で、プログラムの実行順を再確認するようなところからはじめ、その後座標を変数にするというところで、もう一度変数に取り組んでもらいます。MCブロックビルダーを使うと、プログラムの繰り返しの中で、変数がどう変化していくかという点を視覚的に確認することができます。変数の動きを、マイクラの世界のブロックの積み方で実際に見る、体験する事ができるというのは、案外強力な理解の定着につながる可能性があると思うのです。

 このように、MCブロックビルダーは、Scratchの理解が進んでいない生徒さんへの、逐次実行と変数理解の「養成ギブス」的使い方ができると思います。実際、どうしても変数の扱いが苦手で、自分から絶対触らないようにしていたような子どもが、MCブロックビルダーを通じて、変数恐怖症を克服したようなケースもありました。もちろん、十分理解が進んでる生徒さんには、本来のクリエイティビティを刺激するツールとしての使い方もあると思います。

 ただ、教室ではちょっと困ったことも起きる可能性があります。これは僕の教室でもときどきあるので、白状しておきます。

 Scratchの理解が進んでない子がMCブロックビルダーをさわると、全くScratchに触らずにマイクラで遊ぶだけになってしまことがあります。Scratchに何か苦手意識を持ってしまっていると、こうなる事があります。さらに性格的に、それを頑張って克服しようという意識があんまりなかったりする子だと、マイクラで遊びはじめて何を言っても聞いてくれない、制御不能な事態になることもありました。

 また、教室をやっていると、「中学受験を目指していて、そのストレス解消にプログラミング教室に来てるのかな?」と思わせるような子がときどきいます。それも、プログラミングが好きで教室が息抜きになってるのなら良いのですが、実はプログラミングが好きかどうかもかなり怪しい(笑)。そういう子は、きっとプログラミング教室に来てる時間だけは親や受験塾から解放されて、のびのび遊びたいと思っているのだと思います。すると、Scratchのゲームギャラリーに行ってただ人のゲーム遊ぶだけで終わらせるし、何とかプログラムを作らせようとしても、そもそもが遊びに来ている意識なので、考えたり、試行錯誤するというところから距離を置こうとする。そういう子だと、MCブロックビルダーを触ったとたん、マイクラで遊ぶことだけに暴走しはじめて、まったく制御不能になってしまうこともあるんです。

 こういう子には、マイクラを閉じて、もう一度Scratchに戻って、最初の課題とは別の角度で、再度Scratchをやるようにするのですが、一度マイクラを触らせてしまうと、そこから離脱させるのにちょっと苦労したりします。MCブロックビルダーを使うと、中にはそういう生徒さんが出ることがあります。教室で使う場合は、これだけは覚悟してお使いください(笑)


 いろいろ書きましたが、子どもたちにプログラミングを教えている方でしたら、MCブロックビルダーを実際に触っていただくと、いろいろと思うところがあるのではないかと思います。このツールをつかって、Scratchの初心者にプログラミングそのものを教えるカリキュラムだって作れると思います。MCブロックビルダーは単なるツールですので、もちろん自由につかっていただいて構いません。ただ、この電子書籍には、私の考えるカリキュラムが表現されておりますので、教える立場の人たちにはかなり参考になるのではないかと自負しております。ぜひそちらもご覧いただけると幸いです。

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